【ペットにかまれたら-動物咬傷による感染症を知っていますか?】
“逃げ出した飼い犬が、小学生を含む12名を噛んだ”というニュースが話題になっています。
その後の調べで、接種するよう法律で定められている狂犬病ワクチンを未接種だったことが報じられました。
狂犬病は感染し発症すれば、ほぼ100%の確率で2〜3日後に死亡するとされ、デンネツでも過去に何度か取り上げました。
しかし狂犬病以外にも、ペットに噛まれた際に感染する可能性の高い感染症はたくさんあります。
「うちの子は、狂犬病ワクチンをしているので大丈夫!」
などと思っていませんか?
今回はそんな、狂犬病以外の動物咬傷(動物に噛まれたことによる怪我)による感染症をご紹介します。
①破傷風
破傷風は破傷風菌により感染し、発症すると亡くなる確率が非常に高い病気です。
口が開きにくい、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなってしまい、その後亡くなることもあります。
破傷風は予防接種をしていれば、発症を予防することができます。動物咬傷は傷が汚染されており、さらに傷も深い場合があるので、最後の予防接種から5年以上経過しているなら追加接種を行う必要があります。
②パスツレラ症
パスツレラ症は犬や猫の口腔内、上気道、消化器に常在しているパスツレラ属菌による感染症です。受傷早期に受傷部位に発赤、腫れ、疼痛が出現し、膿性の浸出液を認める傷となります。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)や骨髄炎(こつずいえん)を引き起こすこともあります。また、免疫機能が低下している人では、重症化して亡くなることもあり、早急に適切な抗生剤の治療が必要になります。
③カプノサイトファーガ感染症
イヌ・ネコの口腔内に常在しているの細菌を原因とする感染症です。国内のイヌ、ネコの多くが保菌していると言われています。
潜伏期間は、1~14日程度で、数日の潜伏期の後に重篤な症状が現れることがあります。
発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などを前駆症状として、重症化した場合、死亡例もあります。
近年のペットブームで犬や猫を飼う方が増えています。
「自分は大丈夫」「自分のペットは大丈夫」と過信せず、噛まれてしまった時はすぐに傷口を洗い、速やかに医療機関を受診しましょう。